景気回復か?

久しぶりに書くと、毎日続けるためのリズムが損なわれていることがわかる。
とにかく。先週金曜日はダウは前日から上げ続け、それを受けてか、今日もこの時点では日経平均が上げている。一万円回復も間近か。
ただ、アメリカは何をきっかけに大暴落になるか、見当がつかない。悪くなる余地だけは、やたらとあるのである。11月の議会中間選挙で予想通り与党民主党が大敗すれば、それがきっかけでドルも株も暴落するのではないか。もっとも、11月まで相場がもつという保証もにないのだが。

週末書きもらしたのが、読み終わったばかりの福澤徹三『Iターン』の感想である。
福澤は怪談作家として、わりとよく知られているのではないかと思う。癖のない文体で、淡々と後味の悪い話をたくさん書いている。もっとも、平山夢明の天才性は、ここでは感じられない。
ところが、その福澤、在住の北九州市を舞台にした「ヤクザ青春小説」(ヤクザの青春ではなく、ヤクザと触れ合うことを通じた成長)を描いた何本かの小説は、『溺れる金魚』『すじぼり』のどちらも傑作である。じっさい、『すじぼり』は大藪春彦賞を受賞している。
これまで不思議だったのが、福澤の中で怪談とヤクザ青春小説が並立していて接触しないことである。ところが、『Iターン』でこの二つの流れが、ついに合したのだ。怪談ものの主人公にいつも福澤が立てる「うだつの上がらない中年サラリーマン」が主人公で、勤務する広告代理店の北九州支店に彼が転勤するところから話が始まる。そして、主人公はひょんなことからヤクザの舎弟になり……おっさんの青春をしてしまうのだ。結末の付け方についてコメントをしたいのだが、読んでいない人の興味を奪っても申し訳ないので、それは避ける。ただ、福澤徹三という作家についての予備知識があると、面白さが倍増することは確かだ。とはいえ、福澤は文章は下手ではないのだが、説明調が多すぎるというのが、小説家としては欠点だと思う。セリフとテンポはよいのだが。
連載したのは、別冊文芸春秋。昨年だか一昨年だかに読んだ『骨の記憶』もそうなのだが、微妙に開花しきっていない作家に書かせて、大輪の花を咲かせる媒体ということか。

コミックでは『アイ・アム・ア・ヒーロー』(花沢健吾小学館ビッグコミックス)が目が離せない。ということは多くの人が感じているらしく、最新4巻の発売前日に神保町高岡書店に行ったところ、売り切れだった!
神経質なまでの絵の丁寧さもさることながら、今回1、2、3巻を読み返して、筋運びも練りに練っているということを確認。待ち望まれていた「日本版ゾンビ物語」である。ゾンビの造形が日本的な妖怪のそれなのも、またよい趣向だ。