好況に向かうアメリカ?

昨日のダウは0.49% 上げて10320 ドル、原油はバレルで微減しつつも74.9 ドル、金は微増でオンス1251.5 ドルとなった。失業手当の請求が減り、住宅の売り上げが増えたことを好感したようである。「不況に突入」という予想が急激に静まっているともいう。
日々の株価動向で景気の行方を占うことには限界がある。アメリカの場合、景気回復と言った場合、リーマン・ショック以前の経済に戻るということのわけだが、サブプライム不動産ローンの不良債権化の問題は2006 年から始まっていたし、リーマン・ショック後の一連の緊急対策で事態が改善されたわけでもない。いっぽう、世界中から大量に輸入してドルを刷り、経常収支赤字を積み増すという対外経済構造も変わったわけではない。アメリカにとっての「回復」というのは、いったい何を指しているのか。それがさっぱりわからない。
はっきりしているのは、株価と原油価格と金価格が仲良く上下に動くというだけのことだ。それと、今のアメリカが日本並みの超低金利であるということだ。本格回復となれば株価も上がるが、消費の増大を見越して原油価格が上がり、原油価格上昇が物価全般を押し上げるということで金価格も急上昇する。やがてFRBもインフレを警戒して金利を上げざるを得なくなる。それが年内に来るのか(もう9月だからね)、来年まで持ち越されるのか。
日本の「失われた20年」は、石油価格が低い中で進展していった。だが、アメリカは日本よりもはるかにインフレ体質が強い。インフレ懸念から金利が上がれば、過剰なレバレッジだけで成り立っている経済は、一発で崩壊する。長期低迷をするだけの体力が、ないのである。