正直ゴールドマン?

ワシントン・ポスト紙など数紙で、ゴールドマンがやっていたことは詐欺に当たらないのではないかという記事が出てきている。まあ、ゴールドマンには証券取引委員会や財務省にいる法律畑の人材よりも優秀な弁護士が大勢ついているだろうから、単純な詐欺でひっかかるとは、確かに考えにくい。
ただし、政府の最終目標が詐欺罪の適用だったとは限らないという点に、注目するべきなのだろう。この場合、ゴールドマンに対する世間の不信感を煽り、政府のゴールドマンに対する姿勢を明らかにして、金融規制改革を進めることが肝心なのである。そして、いくつかの明るいニュース(GMは政府からの借金を返済し、JPモルガン=チェースは予想以上の好収益だった)が出たにもかかわらず、ダウが0・07%しか上げなかった(つまり、不動)あたりを見ると、政権側の狙いは当たっているように思える。ゴールドマン会長が議会の公聴会に証人喚問される可能性も囁かれているが、仮に実現すれば本当の爆弾はそこで投擲されることだろう。ただし、それが株価の暴落をもたらすところまでオバマ政権が織り込んでいるかは、不明である。
金利上昇に関する話も色々と出てきている。Doomsday は近いのか。

いっぽう、私としてはとても気になるタイ情勢だが(現在赤シャツ隊が占領している交差点のすぐそばのホテルに、すでにデモの始まっていた3月下旬に投宿していたのだ。感無量)、こちらはいよいよ緊迫の度合いを高めている。政府側が一つミスをしたようだ。東北地帯からバンコクに向かう兵士輸送車両が、赤シャツ派の農民たちによって止められてしまったのだ。ここで政府がダメなのは、そもそも東北地方は赤シャツ派の本拠地だという事実を考えずに兵員輸送計画を立ててしまったところになる。
そりゃ、止められるよ。
ついでにいえば、すんなり兵士をバンコクに送り届けていても、同じイサーン(東北)方言で兵士と赤シャツが話すことが可能なわけだから、ひょっとして兵士が発砲拒否、などという結果になっていたかもしれない。アビシットとしては辞任するべきところだと思うのだが、彼はおそらくエスタブリッシュメントの切り札であり、とって代われる人がいないというのが実態だと思われる。いずこも同じ、人材不足か。

枡添要一前厚労相が新党旗揚げを示唆したらしい。私はこの人相の悪いおっさんに国民的人気があるというのが、どうしても納得できない。官僚と戦う厚労大臣としては支持できても、総理大臣となると……という有権者も多いのではないか。いざ新党を立ち上げると、ものすごく支持率が低かった……なんて結果になるような気がしてならない。まあ、私としてはそういう意地の悪い展開を期待しているのだが。

新党乱立の中で一つだけ明るい兆しが見ているのが、平沼/与謝野新党も、自民党も、民主党も、財政再建に前向きな発言をし始めたということだ。とはいえ、これは言うはやすく、行うは難しを地で行くような感じである。現在、日本の国家予算は90兆円を超えている。それでもまだ足りない感じだから、有権者に支持され、景気浮揚効果の出る水準となると、100兆円くらいだろうか。
だが、国の歳入は今や40兆円を切ってしまっている。地方債も含めて公的債務が1000兆円を超えている現状からすると、国の歳入は120兆円くらいあってほしいところだ。そこまで大増税を行ったうえで、現在20兆円の国債費を少なくとも30兆円まで引き上げるのである。30兆円というのは、少々の金利上昇があっても元本を返済し続けられる水準で、ついでにいえば国債費を増やせば市場は好感して長期金利は下がるだろう。大増税にしても、金利低下の効果が出るはずである。
ただまあ、そういう方向には行かないのだろうな……。
だが、財政再建と景気浮揚をいっぺんに実現するとなると、えいやっとばかりに大増税、予算の大増額という以外に考えられないのだが。