人民元、切り……下がる

為替レートの部分自由化を決めた人民元だが、当局の介入があったらしく、自由化二日目にして、若干の下落となった模様。ストが頻発している時に為替暴騰などというのは避けたいだろう。自由化したと思ったら、強力な介入である。ただ、この介入のおかげでドルの価値は維持されている。G20では、アメリカと中国の間で、どういうアホなやりとりがあるのだろうか。

ユーロ圏では、英、独、仏が銀行課税強化で合意している。一つの時代の終わり、という感じである。ユーロ安でドイツ企業は輸出を伸ばせて嬉しかったようだが、メルケルは「ユーロの維持はドイツの国益」と力説しているもよう。

イギリスは、徹底した緊縮政策に入っている。ケインズ的処方からすると×なのだが、考えてみるとソロス率いる国際投機集団に、ポンドの切り下げを強いられた記憶はけっこう生々しい。通貨暴落に対する恐怖感は強いのだろう。ただ、イギリスの場合、決定的に為替価値を下げて、中進国レベルまで落ち込むことで、産業国家として再生できると思うのだが。

日本では、消費税10パーセントの攻防といったところか。管首相は「政治生命を賭ける」とまで言っている。このコミットメントを有権者は好感するのか、忌避するのか。

ちなみに、著書『バブルの興亡』では、私は消費税を16%まで上げることを提言(として読んでもらえたのだろうか)している。これは、数年前の経団連の数値を、そのまま借りてきてのものだ。最近では、榊原英資氏が20%という数字を出していた。このまま消費税の目標値は、上がり続けるのだろうか?

要は、財政改革の目標をどこに置くか、という問題だと思う。政府債務をどこまで減らせば安全なのか。この議論から、まず始めなくてはなるまい。私としては、国家破綻を戦略的に行うほうが賢明だという気がしてきている。