週明け早々の下落

毎週、世界の株式市場のトップバッターは、日付変更線との一関係から最初に一日が始まる日本の、東京証券取引所ということになる。蓋を開けてみると、これが大幅下げだった。日経平均は、380円下げて9521まで来ているのである。週末には9000円を切るのではないだろうか。
この時点ではヨーロッパの三大市場は、先週末よりもかなり低いところから始めて上昇していったが、天井にぶつかった感がある。最近では金融関係の事件はすべてヨーロッパから、というのが現実なので、上下動が激しいのは当然か。いっぽうの日本は、単調な下落の果てに、底で安定である。不安というよりは、安定した悲観ムードが広がっているということなのだろう。
週末のニュースといえば、やはり管直人政権の発足である。財務相になって、それなりに言うことがちゃんとしてきたのは、リアリストの面目躍如か。総選挙まであと一月ちょいで、支持率60%超えというのは悪くない。仮に新顔効果で選挙を戦うという計算にもとづいて、人気が下がって来た鳩山をぎりぎり最後まで辞任させなかったのは、民主党の政略として正解だったことになる。ただ、株価の下落は欧米発であり、しかも少なくともヨーロッパは緊縮ムードになっている(誰かケインズを読め! 絵に描いたような「合成の誤謬」ではないか!)以上、欧米発の景気回復はありえない。わずか一カ月で支持率が30%下げる、ということもありうるのである。日本一国が少々の株価下支え策で、どうにかなるものでもあるまい。
しかも、管新首相にしても、財務大臣を務めるうちに、財政再建の重要性に気がついてきた……のはよいのだが、このタイミングで「まず増税」とかやれば、景気も支持率も大ダメージだろう。財政再建に前向きな姿勢を見せることで、長期の見通しをよくしようにも、成長戦略(ちょうど、今くらいに発表されるはずだよな)が誰の異論もなく素晴らしいものになる確率は、ゼロである。
要は、株価の下げるスピードと、支持率がそれに感応する率の問題でしかないのが、管政権の寿命ということだ。個人的には好きな人ではないのだが、リアリストであることは間違いなく、そこに一点の希望が持てる。だが、依然として「参院選民主惨敗、渡辺政権誕生」のほうが、ありそうなシナリオだ。
そうそう。参院選が微敗になっても、管は引きずり降ろされるのではないか。そして、参院選の「戦犯」にならなかった小沢一郎幹事長が、幹事長ポストに復活する、という筋書きである。「シャッポは軽くてパーがいい」と、かつて名言(迷言?)を放った小沢氏、軽さで選ぶなら、やはり渡辺喜美だろうな。