急回復のタネ明かし

ダウが2.85%上昇して10259ドルまで上げた。加えてフィナンシャル・タイムズ指数が3.12%、ドイツ株が3.11%、フランス株が3.42%といった塩梅で、欧米では軒並み株価が急上昇している。原油は75ドル、金はわずかに下げたものの1211ドルという高水準だ。
これ、すべて中国が外貨準備の運用として購入したユーロ圏の国債を放出しないと保証したためだということである。これは、かねてから予想していた展開だ。クリントンガイトナーの訪中の際にでも話し合いがあったのだろうかね。
面白いのは、欧米とは政策目標の建前(環境、人権、あるいはいわゆるならず者国家に対するスタンスなど)が異なることの多い中国が、ここまでキー・プレイヤーになることに対する警戒心の薄さだ。本当に「G2」とか考えているのだろうか。ついでに言えば、中国経済にしても、決して安定しているわけではない。粗雑な制度でもって急成長を続ける巨大な発展途上国なのである。基本的にはキャッチアップで成長を続けるにもせよ、それは滑らかな過程ではありえないだろう。
そして、株価の急上昇とは対照的に、アメリカでは雇用の回復が予想を下回り、今年第1四半期の成長実績も従来考えられていたのよりも低い3%にとどまったということが明らかになっている。いわゆる回復の、実物面での弱さがどんどん露呈しつつあるのだ。

ヤフー! ジャパンでヒットが一つ。ニューズウィーク誌(日本語版か?)の記事のサマリーで、「ヨーロッパに台頭するネオ排外主義」について言及があったのである。先々、ヨーロッパが最終的に先進国でなくなることがあるとすると、この問題(イスラムユダヤ、アジア系の移民などをどう扱うか)だと思われることもあって、この記事引用はなかなか優れている。
こうした深層レポートは、やっぱり紙媒体向けだと思ってしまう私は、古いのだろうか。

日本に目を転じると、社民党福島瑞穂党首が普天間問題で一人頑張っている。政権としての公約を鳩山が破っているのだから、彼女の姿勢は正しいし、社民党の凋落が決定的になったのが村山富市政権の際に自衛隊も安保も認めたことが原因なのだから、政略的にも正しい。ところが、社民党の幹部や議員(何人いるんだか)は、選挙で民主党の協力が得られなくなるからと、及び腰のようだ。なんとも情けないが、この情けないほうがまあ、社会党改め社民党の本来の姿なのだろう。

それから、誰も気にしていなさそうなのが、日本創新党と立ち上がれ日本の提携話である。最終的には零細野党はくっつくと思うのだが、速く動いたほうが主導権をとれるのだから、この動きはそれなりに注目できる。渡辺喜実、みんなの党にいくら風が吹いても、政治家としての手腕は素人のそれに毛の生えた程度のものでしかないから、ぼやぼやしていると主導権を完全に握られてしまうだろう。まあ、どうでもよいのだが。だが、参院選の後で「渡辺首相、平沼議長、与謝野外相」なんていう顔ぶれになるような気もしてきたのは事実である。それで何かよくなるかは不明。