イラン問題、解決へ向かう

昨日のダウは1.08%下げて、10511ドルへ。さえない。日本がゴールデンウィークに突入してからというもの、11000ドルを超えずにきているダウ。好業績、好データが発表されているのだが、タイ、ギリシャ、ユーロにメキシコ湾の原油と、不安を煽るようなニュースが次々と入ってきており、投資界は悲観モードに入りつつあるということか。
ユーロ圏では、株価が上昇した。輸出が好調、ということなのだろう。何だか日本みたいになってきた。だが、通貨価値が切り下がって輸出が好調になり、株価が上がるというのに頼るのだとすると、通貨規律を導入するためだったユーロに、そもそも何の意味があるのだろう? ついでにいえば、強い通貨と安定した成長のどちらをとるのか、決めずにユーロを導入したという、欧州統合の知的限界が露呈しているようでもある。
こうしたあたりを見抜いたのか、『Fortune』誌ではユーロ=ドル・パリティ論が登場した。1ユーロは1ドルくらいの為替がふさわしいというのである。私の個人的な感想を付け加えれば、ポンドもそのあたりでちょうどよく、そしてまとめて70円くらいが正しい値段だろう。

さて、欧米諸国が迷走を(まあ、日本がいちばんひどいという話もあるのだが)続ける中、新興国のほうは何やらうるわしい動きが出てきた。
イランが核燃料の濃縮を、国外に出す方向で調整が進んでいるのだ。立役者はブラジルとトルコ(!)である。ブラジルのルラ大統領は魅力たっぷりだし、中東と最も縁が薄いように見えるから、仲介役として理想的なのだろう。原油も自給できているし。もっとも、ラテンアメリカカトリックが人口の大半を占めており、イスラエルに同情的な論調は乏しかろう。アラブ系の移民もけっこういるし。とはいえ、いくらイランでも、ブラジル(ルラ)の言うことには耳を傾けるだろうという私の予想は、当たっていたようだ。
面白いのは、トルコの登場である。ギリシャ経済の救済に乗り出したかと思うと、イランの説得である。アタテュルク以来の世俗主義から、徐々に脱却しつつあるトルコが、ついに本来のイスラムの大国としての姿を現してきたということか。面白いのは、トルコはギリシャ救済でEUには大きな恩を売っているという点である。いっぽう、フランスはスパイ容疑でイランに拘留されていた女性ジャーナリストが釈放され、フランスもイランがパリに放った暗殺者(バクティアルもと首相の暗殺を実行)を釈放した。独仏はイラン支持に回るのだろう。そのせいか、金は高止まりなのに、原油はついにバレル70ドルを切ってしまった。

そして、日本の迷走である。週刊プレイボーイと週刊SPA!が「アメリカ出ていけ」「普天間の代わりはいらない」という論調になってきた。次にこれに同調するのは、やはり週刊朝日か。ヒラリー来日が20日、温家宝来日が30日で、この十日間で日本の未来が決まる、のだろう。

ところで、ヒラリーが日本に来て、鳩山を相手に大混乱を起こしている最中に、アメリカはイランと劇的な和解をするのだろうと思う。