ダウ大幅回復、ルビーニ吠える

ダウは順調に回復して1.1%上昇の11,167ドルに到達。数日前の暴落をかなり取り戻した形である。S&Pもナスダックも好調で、上昇率ではダウを凌駕している。好決算を発表する企業も続々登場しており、回復は本格化したという印象だ。もっとも、原油もそれにつれて上がっており、間もなく86ドルに到達しそうである。
それと関係があるのか、ルパート・マードック所有のニューヨーク・ポスト紙が「ゴールドマン聴聞会はじきに終わる」と報じた、とロイターが報じていた。オーナーのマードックと言えば、タカ派、親イスラエル派で有名な人物だが、実は調査恒久小委員会のカール・レヴィン上院議員も、内政面ではオールド・リベラルぽい(デトロイトのあるミシガン州だから、これは当然)感じなのだが、外交面ではことイスラエル問題となるとタカ派である。緊密な結びつきがあってもおかしくない。また、タイミングから言って、先週の詐欺提訴が数日前の暴落をもたらした、という見方も可能である(というか、私は欧州危機と同じくらいの重みを持つ要因だったと思う)。ただ、中途半端なところでやめると、非難轟々になるのは必定なので、その前にきつーい質問をもう何発か、ぶつけることにはなるのだろう。

欧州では、格付け機関を非難する声が上がり始めているようだが、よそに犯人を求めはじめるというのは末期症状だ。ヌリエル・ルビーニの「数日後にはユーロ圏が消滅してもおかしくない」という不吉な予言が当たっても、おかしくない。
そのルビーニの根拠は、1997年にデフォルトをした際のアルゼンチンと比べて、ギリシャは対外債務も財政赤字も対GDP比で上回っている、というものだ。
きわめて説得力に富んでいる。
そして、ギリシャの4倍のGDPを持つスペインは、ギリシャ以上にひどい状態なのだという。
ドイツでメルケル首相が無事に地方選挙を乗り越えられれば、あるいは救済は可能かもしれない。だが、それまでにギリシャ政府が暴動とドイツ/ECB/IMFの間で板挟みになって、とうとうギブアップ、デフォルトという可能性も、十分にあるのである。それは当然、ユーロ脱退を意味するわけで、ところがユーロから脱退する規則というものは、まだ定まっていない。当然、大もめにもめ続けるだろう。スペインもポルトガルも事態は悪化し、ユーロ自体も暴落し、世界的な株安が発生する。やがてイタリアも、そしてついにはイギリスも危機に見舞われるのだろう。ヨーロッパの終焉の終焉、というか。第一次大戦終了から100年近くかけて、ようやくそのプロセスが完了するわけである。