ゴールドマン、33億ドルの収益

これを皮肉と言わずして……
昨日発表されたゴールドマン・サックスの2010年第1四半期の決算は、33億ドルの黒字とのこと。記録的な水準である。だが、ゴールドマン社が詐欺で提訴された翌ワーキング・デイである。株価には、ほとんど目立った動きがなかった。ダウは11080から11140という、きわめて狭い価格帯の中をうろうろして、けっきょく「微増」。いっぽう、ゴールドマン提訴が大嵐の前兆であるとする論調はきわめて多かった。それはそうだろう。で、原油価格は微増、金価格は微減である。
日本では主なニュースは新党乱立と鳩山内閣の支持率低迷である。末期症状、という感じなのだが、7月の参院選後に蓋を開けてみると鳩山か谷垣、という世にも退屈な結果になっているように思えてならない。
中国が、よいよベネズエラやブラジルとともに反米経済同盟を組むか、というのが北京の街の噂だったよし。ただし、これも青海省の大地震でお流れとなってしまった。だが、中国が反米でいきたいのであれば、なにゆえブラジルやインドとともに、イラン制裁でアメリカに歩み寄っているのか? 進展しつつあるのは、むしろ新興国への経済権益、発言権の大幅移譲だろう。
ここで注目の論客を一人。

http://www.chathamhouse.org.uk/about/directory/view/-/id/87/

クレオパスカル女史、である。若い。それで、「気候変動が政治経済と安全保障におよぼす影響」について考察を重ねている。最近、"Global Warring" なる本も発表した。面白かった。
パスカル女史はカナダ人だが、それだけに北極の氷の融解が気になっている。ついでに、温暖化でヨーロッパとアメリカの沿岸部の都市が洪水や台風の被害を受けやすくなるとも。確かにアメリカはカトリナにやられたし、ヨーロッパといえば北で洪水、南で山火事というのが相場だ。このあたりでも、新興国に有利な環境が整いつつあるようだ。
面白いのは、パスカル女史の本には、日本が21世紀国際政治のアクターとして、全然登場しなかったということか。まあ、それが悪いことだとも思えないのだが。