ゴールドマン提訴

ついに来た、という感じである。
アメリカ証券界、金融界(今では証券と銀行の垣根が取り払われているので)の帝王だと誰もが考えていたゴールドマン・サックスが、米証券監視委員会(SEC)によって詐欺で告発されているのだ。
金融というのは、けっきょくは「この人ならお金を預けてもだいじょうぶ」だと周囲に思わせないと、成り立たない。それが詐欺じゃねぇ……。ヨーロッパでも、ゴードン・ブラウンが攻撃をはじめたようだが、このままこの一件は(前から指摘しているような気もするが)PIIGS危機へと連結してしまうかもしれない。問題を起こしている国々の財政状態がここまで悪化したのは、ウォール街というかゴールドマンが債務の「飛ばし」をこれらの国々の財政当局へ指南したからだという話があるからである。金融自由化の逆流が、ついに始まった、のかもしれない。アイスランド火山の噴火がなければ、(金融監督担当の高官たちの大西洋シャトル外交が可能なので)、もっと素早く話は進むだろう。

その噴火だが、偏西風の増したから火山灰が噴き上げているので、北半球の穀物はひどい不作に見舞われるのではないか、という予想がある。

http://119110.seesaa.net/article/146739715.html

なかなか説得力がある……というか、浅間山大噴火でフランス革命が起きたという話もあるくらいだから、これはきわめて蓋然性が高い。ただし、今年からは原油が価格低下を始めるので、事態の深刻さはそれほど見えず……というのが私の予想である。本格的なインフレ到来は5年後だろう。

なぜ原油価格が低下するかというと、アメリカとイランが和解しそうだから、という話はこのブログでもたびたびしてきた。そのイラン、独自の核開発に関するシンポジウムを開催、「イスラエルも核不拡散条約に調印したら?」などと言っている。このもっともな提言を無視しつつ、国際社会は制裁に踏み切るのだろうか? どうも、そうとは思えない。なんだかんだ言って、イラクはまずクウェート侵攻という、国際社会の起きてを踏みにじるような動きを見せたから、徹底的に叩かれたのではないか。核不拡散に関しては、すでに核兵器を持っている国々の既得権益があまりに強く守られているので、軍事力による一方的な領土侵犯に比べて、国際社会の非難が集まりにくいのである。それでもブラジル(核開発中)やインド(核開発済み)がイラン制裁に乗り気な姿勢を見せているのは、落とし所が見えているだろう。

そんなタイミングで、ロバート・ゲイツ国務長官が起草した意見書「アメリカには長期的に有効な対イラン戦略はない」がニューヨーク・タイムズ紙にリークされた。これは、どう読むべきなのか? 私は観測気球だと思うのだが。