利上げの近いアメリカ

首都ワシントンで自ら主催した形の核サミットで、イラン制裁について中国の同意をとりつけたオバマ大統領である。ダウも11,000ドルまで戻して、上機嫌なのではないか(われらが鳩山由紀夫首相との会談は非公式に10分だったそうだ。まあ、順当な線だろう。会って話しても何も得るところがないのだから)。
後から見て、今がオバマの絶頂期だった、とか言われないことを願うのだが。というのも、ダウ11,000超えとともに、金利上昇の話題が増え始め、その観測の正しさを裏付けるかのように、原油価格がじわりと下がり始めたのだ。
金利が上がれば、超低金利下で発行量が増えに増えたアメリカ国債の価格は暴落する。借金漬けで破産する個人も増える。銀行破綻の波も加速するだろう。ドルは一時的に上がるだろうから、輸出企業の株価も下がる。
ところが、金利高 → ドル高は一時的なものでしかない。アメリカの景気悪化で、国債の償還が可能なのかが、にわかに疑わしくなるからである。何やらデフォルト前夜の様相を呈してくるわけだ。
とまあ、そこまで考えると、早めにガイトナー財務長官は更迭しておいてほうがよいような気がしないでもない。危機的な状況において責任者のままにしておくには、あまりに頼りないのである。

いっぽう、混乱の続くタイだが、軍の総司令官が首相に解散総選挙を提案したそうだ。タイ王国の柱である軍としては、エスタブリッシュメント代表ではあるものの筋の悪いアビシット政権と心中する気はないということなのだろう。
ところで、今回のバンコク騒乱について、興味深い記事を発見した。


http://www.toonippo.co.jp/tokushuu/danmen/danmen2010/0412.html

タイ政治について、これほど生々しい記事を読んだことはない。軍の中の反抗分子がタクシンと結託しており、一昨日の邦人カメラマンを含む射殺事件も、彼ら(ヤクザ将軍とその部下たち)のしわざではないかというのである。もし事実だとすれば、タイの未来について、ますます暗澹とした気持になってしまう。実はバンコクには3月の末に寄って来たのだが、確かに物情騒然という気配だった。そのいっぽうで、ケンピンスキ・グループが超高級ホテルを建設中だったのだが。

日本では、菅財務相に続き、仙石国家戦略相(だったか?)も増税の必要性を説き始めた。平沼新党(というか、与謝野)も増税の必要性を説いている。自民党も近々、これに同調するだろう。参院選後に10%というのが、順当な線だろうか、たかだか10兆円の増収では、焼け石に水という気もする。国民を安心させられるような成長戦略(ゼロ成長でもいいから、財政破綻を起こさないシナリオ、というのでも可)を提示することの必要性が、痛感されるところである。