(一日おいて)平穏なアメリカ、奈落に落ちる日本

アメリカでは、特に経済ニュースと呼べるほどのこともなかった7日。ダウは微増(0.3%+)で、原油と金は微減というか、ほぼ変わらず、であった。
いっぽうの日本。管直人財務大臣を兼任するとのこと。国家戦略室長として何一つしてこなかった人が、史上最大の赤字財政を国会に説明する任務を負うのである。
これは管つぶしなのか、はたまた鳩山からの禅譲へのステップなのか。小沢一郎は窮地に立っているようだし、さっぱり読めない。このように渾沌とした国内政局があるいっぽうで、普天間問題と北朝鮮問題は、全然国民に見えないところで話が進んでいるように思える。
ここで何度か書いているかもしれないが、現在の外交の迷走は、実は予想もつかない目標に向けた最短ルートを全力疾走しているのが、国民一般には理解できていないだけ、ということなのではないか。
私の予想では、その目標とは
「日・中・統一コリア連合」であり、「アメリカによる安保の破棄」である。
アメリカは、10年後にはGDPで中国に追い抜かれる。リーマン0.2みたいな危機が起きれば、もっと早く抜かれることだろう。史上、「抜かれる」と感じた覇権国は、早めに追走者を叩くことを常としてきた。ペロポネソス戦争におけるアテネしかり、日中戦争における日本しかり、そして(意外なことに)第一次大戦におけるドイツしかり。
しかも、アメリカの場合、今やその経済運営は、諸外国を牛耳ることにかかっている。軍事力がないと、やっていけないのだ。日本や中国、湾岸諸国が国債を買ってくれないと、たちまち不況だし、アメリカ企業の工場のほとんどは、今や国外だ。強みは農業くらいなのだが、農産物というのは、どこでも作れるものなわけで、決して競争上の優位にあるとは言えない。そこへもってきて、軍需産業の収益確保という問題がある。
地図だけ見ていれば、アメリカはイラクアフガニスタンを抑えることで、中東の原油はほぼ完全に制している格好だ。また、アフガニスタンと日本を抑えることで、中国包囲網も築いている。
だが、それはけっきょく、蜘蛛の巣でもって雄牛をからめ取ろうとするような努力でしかなくなりつつある。中国としては待てばいいだけだし、アメリカの中東「制覇」は、日に日に怪しくなりつつある。サダム・フセインが死に際に組織したテロの罠に、まんまとひっかかってしまっているのだ。
日本としては、アメリカと安保で結ばれている限り、米中戦争の導火線になる可能性が大である。そして、日米vs中では、中国はまだ当分の間、勝てないだろう。だが、日中vs米でも、アメリカはもはや勝てないのである。アメリカとしては中国を叩きたい、中国としては何もしないで待つのが賢明である。
日本としては、米中のどちらを選ぶが得策か?
日中関係の緊密化が日本の国益に長期的に資するものかは(中国社会のあまりの不安定性に鑑みて)不明である。だが、日本政界の最中枢部の人々が、日中の緊密化に賭けているとしても、おかしくはない。そこへ向けての最大の障碍が北朝鮮であり、そして日本と北朝鮮の関係に刺さった棘である拉致問題には、間もなく大きな進展が起こる可能性も囁かれている。
そしていっぽうでは、日を追って悪化するアメリカ政府の日本に対する感情の悪化だ。
鳩山氏の無能さは筋金入り、真性のものだと私は微塵も疑わないが、彼の天然無能芝居の筋書きは巧妙である。そして、鳩山氏の名誉のために付け加えておけば、彼が(小沢も)この筋書きの完遂のために死ぬ覚悟があるだろう、ということだ。怯えたような首相の目は、刺客の影を探しているからなのだ。
そして、一命を賭した政治家たちは、管直人に政権を禅譲するようなことはあるまい。彼は史上最悪の財務大臣として大恥をかくポジションにつけられただけのことのようである。