お屠蘇が切れたアメリカ、老兵が消える日本

お年玉相場も、わずか一日でお終いのようだ。昨日のダウは小幅に上下動を展開したが、けっきょく前日終値を超えることなく、前日比で0.11% 減。金は微増、原油は微減(80ドル超は維持)で、凪いでいる感じか。
緊急対策のメッキが剥がれてきたと感じさせたのは、住宅関連のデータ。税制上の優遇措置が3月まで続くことが決まったのに、11月の住宅新規購入契約数は、前月比で16% 減だという。

それよりも、気になるのが藤井財務省の辞任だ。鳩山政権における唯一の成熟した、まっとうな大人(亀井、小沢はまっとうとは言い難い……)が退場するのである。
93年の細川政権の大蔵大臣も務めている藤井は、その後自民党政権時代が長く続いたために政権入りして活躍する機会は乏しかったが、官僚時代の評判は高く、今回の鳩山政権でも、一人「立派な人」の印象だった。その政策や判断には同意できないこともあったが、それでも「しっかりした人がいる」と安心させてくれたものだ。
その彼が、体調が理由で引退する。これで思い出すのは、9・11テロ直前に旧ソ連KGB議長を務め、しかもKGBきってのアラブ通だったエフゲニ・プリマコフもと首相がロシア政界からの引退を表明したことだ。そういえば、自民党の党人派の切れ者二人、山中貞則塩川正十郎も、今回の自民大崩壊を前にさっさと引退し(まあ、そうとうな高齢だったんだが)、しかもどちらも息子に跡目を継がせなかった。今回の藤井退任も、体調の問題、そして高齢では今回の予算審議が乗り切れなくなる恐れがあることなどを受けてのことだろうが、それと同時にやがて訪れる日本の経済、財政、金融の大波乱を予想させもする。