「お年玉相場」は、いつまで続く?

新年早々のダウ平均は、前日比で1.5% 上昇して10584 ドルへ。日経平均も好調だ。また、2009 年の破産(法人、個人合計)は140 万件で、前年比32% 増、史上7番目に悪いというものの、12月分が前年同月比で22% 増だから、終息しつつあるようにも思える。
いっぽう、原油は80ドル超の水準を維持している。これは、昨年頭のざっと2倍だが、アメリカとしては原油の消費量が減っていてこれだというから不気味である。金は、いっきに2% 上昇、1118 ドルに達した。回復の兆しが見えてくるとともに、インフレの兆候も出つつあるのだ。ひたすらお札を刷りまくっているのだから、当然だろう。
ところが、ドルは対円で強くなっている。一時は93 円をつけたようだ。だが、円が対ユーロでも弱いところを見ると、これは日本のキャリー・トレード(円で借りて外貨で投資する)が復活したということかとも思える。もっとも、今の欧米で投資する対象があるとも考えにくいのだが。それに、日本の株価も回復しているのだから、わざわざ為替リスクを負う必要もないではないか。
もっとも、世の中にはFX族という、一種の賭博中毒患者の群れが定着しているのかもしれない。

さて、アメリカはナイジェリア人の飛行機テロ未遂にアフガニスタンの内閣不信任、自爆テロ、イエメンのテロ警告、さらにアメリカ国内における炭そ菌テロの復活と、2001 年に逆戻りといった感じである。しかも、飛行機テロ未遂事件で、これまで10年近くかけて構築してきたはずの国内警戒体制がザルであることが発覚した。ブッシュがアフガンを拙速で攻撃し、イラク戦争を起こすことで払しょくした、9・11による「全般的不安 Dread」が戻りつつあるように思う。
そのいっぽうで、メキシコでは麻薬王が何人か射殺されている。今やアメリカは南米の麻薬問題と中東〜中央アジアのテロ問題の二正面作戦を強いられているわけだが、少なくとも片方の戦線では何らかの進歩があったわけで、慶賀の至りと言えよう。まあ、私に慶賀されても、嬉しくはないだろうが。
ただし、この二正面作戦、アメリカにとって分が悪い。アルカエダも麻薬マフィアも、住所不定でメンバーは増えるいっぽうだからである。私が好きなゾンビ映画のような展開なのだ。そして、第二次大戦では日本とドイツの共同作戦はほとんど存在しなかったが、どちらも国際闇社会の住人として、アルカエダと麻薬マフィアの提携は、あるかないかというよりは、時間の問題である(もう起こっているという話もある)。そうなった場合、アメリカに打つ手はあるのか? しかも、イギリスが反米に回った場合、カナダとの国境も危なくなってくる。
そんな不安を抱えつつ、アメリカは2010 年へと船出をしたことになる。