(1日おいて)2010年に何が起こるか

皆さま、あけましておめでとうございます。今2010年もよろしくお願い申し上げます。

さて、新年(まだ松の内だからね)である。今年に起こりそうな経済関係の大事件について、考えておこう。
まあ、このブログは予測を主眼としているので、すでにそれらには触れているのだが。

まず、アメリカの2番底である。拙著『バブルの興亡』では、「今から半年以内」と書いたが、本の刊行が昨年の10月半ばだから、今年の4月半ばまでに、何かがアメリカで起こるという見通しである。
1929年のクラッシュの後の展開から、昨年10月が危ないという意見が多かったが、結果としてそのタイミングでの市場崩落は回避されている。FRBもそのタイミングを重視していたからだ。だが、そうして難所をすべて切り抜けると、今度はインフレ懸念が出てくる。悪いニュースが何も出ず、株価がじわじわと上がり続ければ、1月末にはバレル120ドル、金1オンス1500 なんていうゾーンに、簡単に達してしまうだろう。FRBとしては、2月には低金利以外の金融緩和措置を止める予定なわけだが、それよりも少々強い引き締めに転じざるをえないかもしれない。巨大企業の経営危機(たとえば、ガソリン価格の高騰で売上の急落するGM、フォードとか)に対して、迅速に対応できなくなるだろう。そこから波及して株価暴落というのが、最もありそうなシナリオである。
ただ、インフレ発生を別にしても、予定通りの引き締めだけで、どこか(シティバンクとか)がパンクしても、全然おかしくない。

日本の2番底は、どうか。私は当初、来年の参院選に向けて民主党は遮二無二景気浮揚を図るものと考えていたのだが、鳩山政権の無能さは底なしである。次は副総理という立場から菅直人だが、これもダメだろう。すると、幻滅だけで株価がぐずぐずと下がっていき、いっぽう将来的な財政見通し、国債償還への意欲、能力に対する悲観論から、国債は市中消化されず、長期金利がぴょーんと跳ね上がるという可能性も高い。そのあたりが、日本の2番底だろう。大型倒産劇が何件か起こるのだ。
すると、やおら亀井金融大臣だか彼の後任だか(別に小沢一郎でもいいのだが)が、日銀法改正をちらつかせつつ、空前の金融大緩和を白川総裁に強いることに。ここに、私のバブル・シナリオが開始されることになる。
この場合、癪なのは「対外的要因から超低金利政策」という私の分析・予測がはずれてしまうということである。まあ、宇宙人が政権を担当していることで始まる危機だから、「対外的要因」だと言えなくもないが。
そうそう、後で触れるつもりだが、中国が外貨準備として日本国債を大量購入して、この危機がけっきょく回避されるという可能性もゼロではない。

これまでにも何回か述べてきた北朝鮮崩壊の可能性は、どうか。
デノミの後でちょろっと暴動情報もあったが、最近では外貨使用の禁止など、いちおう不満を抑え込んでいるようである。
だが、大崩壊でなくとも、北朝鮮がギブアップして中国や韓国にすがりついただけでも、経済危機は発生するだろう。特に韓国である。最初は統一に浮かれて株価が上がるかもしれないが、すぐにその経済的コスト、政治的リスクの高さがわかってきて、韓国株は暴落する。すがりついてきた北朝鮮もろとも韓国も倒れて、朝鮮半島大動乱の危機が高まる。
そうなれば、日銀は韓国国債の大量購入で応じざるをえないだろう。同時に、朝鮮半島統一が(日銀の介入の結果)すんなりいけば、歴史的楽観論(朝鮮半島統一から、アジアにおける「平和の50年」というシナリオの広まり)に実需(朝鮮統一特需)、そして金融超緩和(朝鮮半島を支えるため)が組み合わさって、私の予想していた次のバブルとなる。

あと、来年起こりそうなことで重要なのは、人民元の切り上げだ。日本の場合、大阪万博の年だかその翌年にニクソン・ショックが起きて、戦後初めて、円が対ドルで切り上がっている。中国の場合は、来年が上海万博だが、危機に対する財政出動に万博景気が加わって、すでに相当なバブルとなっている。そして、アメリカが回復するとともに一次産品全般が値上がりし、加えてアメリカが中国の鉄管輸出に対して関税をかけてくるとなれば、中国としては(関税に対する怒りも加わって)、10%を超える大型の通貨切り上げを行う可能性は高い。アメリカ国債の購入もやめるのである。痛手はあるが、アメリカで金利が急騰してアメリカの景気が停滞すれば、原油価格は下がる。また、世界各地におけるアメリカの発言力は、さらに低下する。人民元切り上げは、中国にとってはコストも高いが、メリットも高い選択肢なのだ。
この場合、日本にはどういう影響が出るだろう?
ドル換算で見た場合、中国のGDPは日本のそれを上回ってしまうわけで、その心理的ショックは大きいかもしれない。だが、10%の切り上げは、中国市場の10%の膨張を意味するから、輸出は間違いなく過熱するはずだ。いっぽう、アメリカ経済は大打撃を受けて、そちらへの輸出は大ダメージだから、日銀としてはうかつに金利を上げられない。円は対ドルでさらに上昇し、実需(中国向け輸出)は堅調な中、超低金利が維持されるのである。
ついでにいえば、中国の新興富裕層の日本不動産投資熱なるものも、人民元の切り上げとともに発生するだろう。すでにちらほらとは起きているが、大きな流れになるのである。これも、日本のバブル発生に寄与することだろう。

つまりまあ、私の「半年以内(4月15日まで)に経済危機が起こる」という予測の該当例は、色々ありそうだということになる。一般論としては、今年は昨年にもまして厳しい一年間となるだろう。だが、危機の後にはバブルが来る。私はその確信を抱きつつ、今年一年、市場をウォッチしてくつもりだ。