サンタがホワイトハウスへやって来た!

というわけで、オバマ政権の目玉「医療制度改革」が上院を通過した。賛成60、反対39で、はっきりと政党で割れたようである。これでやっと全アメリカ国民をカバーする健保制度が出来る見通しとなった。アフガニスタンでの苦境が伝えられる中での法案成立であり、オバマ大統領の政治手腕にはあらためて拍手を送りたい。
法案成立を好感して、市場も回復している。ダウは前日比で0.51% 上昇して、今年最高の10520 ドルをつけた。のみならず、円もユーロも、ドルに対してわずかに下げている。また、失業保険の新規請求件数も低下したそうだ。
市場の明るいムードを読んで、財務省(前回はFRBと書いたような気がする)は、フレディー・マック、ファニー・メイに対する資金供給を無制限に増やす決断を行った。政府の住宅市場回復に対する悲観論というシグナルを発することを恐れていたのだが、オバマ政権の大勝利で、悪いニュースを同時に出してもだいじょうぶだと判断したようである。
いっぽう、議会は政府債務の上限を12.4 兆ドルまで引き上げ、財政問題の厳しさを確認した。
また、原油価格は一気に1.80% 増で、78.05 ドルとなり、金も0.98% 上げて1104 ドルに達した。回復が本格化すればインフレ、という定石的な運びとなったわけである。医療制度改革も、長期的には人口の高齢化が響いて財政状況を悪化させるだろう(日本の医療保険会計と同じ問題である)。ファニーとフレディーの無制限資金供給も、政府債務の上限上昇も、すべて要は放漫財政である。年明け早々のドル暴落という可能性も、無視するべきではないであろう。