新築住宅の販売件数、劇的な低下

商務省によると、全米の11月の新築住宅販売件数(住宅新規着工件数のことか?)が11.3% も下がったとのことである。これは今年3月以来最悪で、しかも昨日の「中古住宅販売件数が顕著な伸び」という情報と合わせると、アメリカ人が全般的に生活水準を落としていることたうかがわれる。需要が全体として縮小するわけで、回復の持続は難しくなりそうだ。
だが、そのいっぽうでは原油価格が0.85% 上げて77ドルを突破、金も微減である。エネルギー先物も上がったとのことで、インフレ懸念が再発している。ところが皮肉なことに、インフレ懸念の関数であるエネルギー・コモディティ関連株が上がった結果、ダウは一日を通じては、わずかながらプラスになっているのだ(0.01% 増!)。ちなみに、原油輸入は2003年以来最低ということだが、2003年というのはアメリカのITバブル崩壊以後、ダウが底に到達した年でもあり、イラク戦争が始まった年でもある。
そのイラクは、依然として落ち着かない。パキスタンも、アフガニスタンもまたしかりである。アフガン戦線については、アメリカ人の過半数が悲観論に傾いているようで、「好戦ムードから景気回復」というシナリオは描けそうにない。
それより、日米関係もおかしくなっているとあって、アメリカの大戦略の行方が危うくなっている。21世紀、ポスト冷戦におけるアメリカの大戦略は(私の読みでは)日、英を従え、中国を包囲し、ロシアの台頭を抑え込み、中東の原油を確保する、というものだったはずだ。ラテンアメリカについては、従来通りアメリカの裏庭だったはずである。
ところが、イギリスはアメリカから離反しつつあり、日本も(馬鹿なふりをして)アメリカとの同盟関係を終わらせようとしている。イラクとアフガンを抑えることでイラクの油田のみならず、中央アジアサウジアラビア、イランに睨みをきかせ、さらにアフガンからは日韓の米軍基地と合わせて中国を包囲する、という「テロとの戦争」の最終目標も、早くもおかしくなっているし、さらにラテンアメリカまで離反の度合いを加速している。コロンビアでは州知事が左翼ゲリラに殺され、ベネズエラに対する軍事行動のリスクが高まりつつあるし、メキシコの麻薬戦争は、本物の戦争に限りなく似てきており、しかも暴力というか戦闘が、アメリカ国内になだれこんで来ている。
これでいったいどうやって、ダウとかドルの価値を維持し続けるのだろう? 現時点で言えるのは、オバマがどこまで頑張れるのか、お手並み拝見というだけだ(オバマという個人に関しては、強く応援している)。