クリスマス休暇を前に楽観論が広がるも、予断を許さず

昨日のダウは、フランスの製薬会社サノフィ・アベンティスによる米医薬・健康企業チャテムを買収したことが、先週のエクソンによる天然ガス企業買収からはじまる大型買収トレンドのはじまりと解釈され、前日比0.83% アップの10410 となった。ここ数日間、上げても0.5% みたいなことばかりだったので、これは大きな上げだと言える。朝方に上げた後で、再度下げる「逆U字型」でないのも、市場心理が落ち着いてきた兆候にも受け取れる。
他の市場におけるわずかな変化から、強いて何か傾向を読みとるとすれば、やはり安定だろうか。原油は1.1% 下落、金は0.08% と減り方こそわずかながら、1100 ドルの大台を割り込んで1094.50 ドルである。インフレ懸念が(少しだけ)遠のいた、全般的不安(dread factor)が(ほんのちょっぴり)解消された、といったところだろうか。
いっぽう、ウォールストリードジャーナル紙は、「タッパーウェアパーティならぬゴールド・パーティが新しい流行」という変な話を掲載。郊外住宅地で、金製品の交換会・買い取り会がパーティー形式で開催されるという新流行の話しである。金製品鑑定のエキスパートが派遣され、2、30 人の主婦が集まったところで、競りをやったり、「買え、買え」と参加者の大多数が合唱して、悩む参加者をその気にさせたり、という販促の催しだということだ。北東部で盛んで、インタビューに登場する金パーティー業者(ゴールドマン・サックス出身!)は、130 人の鑑定要員を抱え、月に1000 回のパーティーを切り盛りしているという。これが事業として成り立つのは、自分が持っている金製品を相場よりも安く出してしまう参加者が大勢いるからで、実際の相場とパーティー相場の間の差が開いていくとともに、新手の詐欺になっていく危険性を指摘する向きもあるようだ。郊外生活の鬱憤は変わらず、といったところか。
市場は回復を示し、住宅街では金パーティーで盛り上がっていると、まことに太平楽アメリカの年末だが、そのいっぽうでは深刻な延滞を起こしている住宅プライムローン(優良住宅ローンの借り手)は、前期比で20% の増加だという。大幅増で3.6% になったということで、それほどの心配はいらないのかもしれない。だが、これがじわじわと上がって5% を超えると、貸し手の金融機関も、市場に与える心理的な動揺もそうとうなものとなるだろう。不安から金価格が高騰(本当は、不良債権の山積はデフレ要因なので、金は下がるはずなのだが、不安が増すので値上がりするのである)するはずだ。プライムローンを延滞した家で開かれた金パーティーで惨劇が、などという想像は不謹慎に過ぎるだろうか。