分かれ道のアメリカ

昨日(昨夜?)のダウは、30ポイントの平均となった。意地の悪い言い方になるが、依然として統計誤差みたいな「微増」だ。失業保険申請者数が50,100 から46,600 まで低下し、しかも予想の500,000 を下回っていたこと、住宅購入件数が6.2% 上昇したこと、消費支出が前月比で0.7% 増加したことなど、一連のよいニュースが好感されたのだという。ただし、一日の取引のグラフを見ると、例によって朝に急上昇し、昼頃には勢いをなくすというパターンだ。ただ、閉め際にちょっと回復している。ひょっとして、ここからよたよたと上昇が続き、気がつくとダウ11,000、ダウ12,000、そしてダウ13,000 と、リーマン・ショック前夜の水準を取り戻すのだろうか?
それはもちろん、ありえなくはない。ただ、不吉なサインも出ていることを見落としてはならない。
一日いちにちの上下動で大騒ぎするのは馬鹿らしいのだが、昨日の場合は株価の微増を打ち消して余りある動きがあった。ドルの下げである。
1ユーロ = 1.5142ドル
というのは、対ユーロでのドル安で記録らしい。いっぽうの円に対しては、
1ドル = 87.40円
である。市場が開いた際には88.56円で、一時は87.19円まで行ったというから、暴落に近い。金も順調に上げており、一オンス1200ドルは間近となっている。
これはつまり、インフレ懸念が強まっている、ということではないのか。公表されたFRBの会議の議事録に「当分、金利は上げない」とあったことに対する、当然の反応である。
インフレの指標としてやはり重要な原油は、バレル77.7と、おめでたい数字の並びかただが、これまた不吉である。前日比では下げているが、決して安いわけではない。アメリカの景気が本格回復となれば、あっという間に100ドル突破だろう。そして、いっきょに悲観ムードの突入するのである。
このブログでも繰り返しているように、紙幣を刷りまくって経済崩壊を回避したアメリカの経済が本格回復すれば、ただちに原油価格が暴騰する可能性が高い。不況でなければインフレというところまで、来ているのである。その「究極の選択」の分かれ道が、垣間見られた一日だったと言えよう。